キーエンス流 仕組み、数値化術

仕組み化#3 商品価値を把握するためのニーズカード

キーエンスの新商品はほとんどが世界発、業界初の商品です。キーエンスの競争力の源泉になっている商品のアイデアはどこから来るのでしょうか。

  • 営業担当から発信されるニーズカードで包括的にニーズを探る
  • 商品企画担当が定性、定量的に調査を行いニーズを探る

仕組み#1  ニーズカード

営業マンが月に1回「ニーズカード」を用いて本社に顧客ニーズを発信する目安箱のような仕組みがあります。これがキーエンスの付加価値の源となり新商品が生まれていきます。
ニーズカードに記載される内容として、業界、会社名、工程等、ニーズ内容、従来方法、販売可能額等があります。

販売可能額がある理由としては、従来方法と比べてニーズを満たせた場合、「どれぐらいの価値が生まれるのか?」を考える根拠になるためです。
また、質の良いニーズカードを営業担当に提出させる仕組みがあります。具体的には各事業部で最も優秀だったニーズを提出した営業担当には数万円の報酬が発生しています。このように人に動機を与えることで、質の良いニーズを営業担当者に発信させ続ける仕組みを構築しています。

仕組み#2 商品企画担当者の存在

各事業部に1~3名ほど商品企画担当者が存在します。
彼らは定量的な調査と定性的な調査を行います。

定量的な調査の一つがキーエンス独自のSFA(営業支援ソフト)の商談データや顧客から入手をしています。例えば、商談入力では商談が進まなくなった場合に「NG理由」を入力します。このNG理由で数が多かったもの等を抽出して次の商品開発のインサイトとして活用します。

定性的な調査としては営業同行があげられます。直接顧客に現在の困りごとや商品への期待を聞くことで必要なニーズを抽出しています。この時にポイントになるのが、顕在化されたニーズではなく、潜在的なニーズに着目することです。顕在化されたニーズは既に世の中に解決策が提示されている場合が多いため、競合が少なく、大きな利益を確保することができます。そのために顧客の仕事、行動、業務シェア等の客観的な事実等も活用し顧客にとって「必要な価値」を反映するためにどのような機能が必要なのかを明確にします。

ABOUT ME
Ucchi
キーエンス、ロボットSierに12年間勤務、リードセールス、マネージャーを経験。年間平均売上額は1億以上、3期連続表彰してきた筆者が売れる技術を言語化、BtoB営業手法を科学的な視点から紹介させていただきます。

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